※本コースに含まれる以下のレクチャーは、個別に購入することができます。
dear Me!子どもとアーティストの複雑で面白い関係性 - イントロダクション -
日時:4月7日(土)13:00-15:00 場所:AITルーム(代官山)
子ども+アート+フクシ+ケアについて学ぶコースの導入として、AITが2016年より実践している子どもとアーティストを繋ぐ新たなプログラム「dear Me」の活動を紹介します。AITが培ってきた教育プログラムやアーティスト・イン・レジデンスで生まれた関係性から発展したこのプログラム。児童福祉施設をはじめ、様々な環境下にある子どもたちとアーティストのワークショップ、美術館訪問、専門家との学びやディスカッションを通して新たなアート・エデュケーションの形を模索しています。個性豊かな子どもたちとアーティストが繋がることで想像力を引き出し合うこと、また、子どもと寄り添う大人と、より良い環境作りへの関心を増やすこと。ここでは、問題解決を目指すのではなく、柔らかな方法でアートとフクシが交差する活動やその可能性について考えます。
講師
堀内奈穂子(AITキュレーター)
藤井理花(AITプロジェクト・マネージャー)
Photo by Yukiko Koshima
はじめての児童福祉 - 創造力が変革するこどもの「場」-
日時:4月19日(木)19:00-21:00 場所:AITルーム(代官山)
「児童養護施設」や「里親制度」などの言葉は聞いたことがある人も多いと思いますが、その実態はどのようなものでしょうか。このレクチャーでは、現場のリサーチやヒアリング、草の根的な意見交換を行いながら自治体職員として子どもの環境に関する制度や法整備に携わって来た鈴木秀洋氏にお話を聞き、現在の日本における児童福祉の状況について学びます。 子どもを取り巻く環境や課題は様々で、それに関わる制度も複雑化しています。一方で、「子ども食堂」や「アフタースクール事業」など、NPO法人やボランティア団体が率先して子どもの多様な居場所を作る、行政以外の積極的な動きも見られます。まずはその一端を眺めることで、当事者と関わり合う際に欠かせない視点や考えを身につけていきます。 レポートはこちら>>(Up date on 5/11)
講師
鈴木秀洋(日本大学危機管理学部准教授)
国内外の事例から眺める、子どもたちの環境と法の整備
日時:5月17日(木)19:00-21:00 場所:AITルーム(代官山)
生まれた国の制度や枠組み、出会った家族によってその人の一生が決まるとしたら、私たちはどうやって自ら生まれ持った環境から欲しい未来をつくることができるのでしょうか。ニューヨークを拠点に世界90カ国にネットワークを広げ活動する、国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ。子どもや難民を含む人々やマイノリティなど、あらゆる人たちの権利と尊厳を、法を駆使して守る活動をしています。東京オフィスの土井香苗氏を迎え、日本に限らず世界のこどもに関わる事例を紹介しながら、その活動が具体的にどのように国や政策を動かしていくのかお話を伺います。
講師
土井香苗(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)
より良く生きるためのアート・エデュケーション - 福祉とアート、世界の事例から -
日時:6月14日(木)19:00-21:00 場所:AITルーム(代官山)
近年、認知症の人とその家族、介護士を対象にニューヨークのMoMAが立ち上げた「meet me at MoMA (2007年-2014年)」。また、高齢者や障害を持つ人に向けて「Special Guests」プログラムを実施しているオランダのVan Abbemuseumなど、特に美術館の教育プログラムで積極的にコレクションを活用したアートとケアを交差させた活動が広がっています。ここでは、そうした活動が生まれた社会状況やキューバのアーティスト、タニア・ブルゲラが提唱した「アルテ・ウティル(有用芸術)」などを紹介しながら、より良く生きるためのアート・エデュケーションの未来を想像します。 レポートはこちら>>(Up date on 6/27)
講師
堀内奈穂子(AITキュレーター)
「孤立」から共助へ - 有機的な生態系をつくる -
日時:6月28日(木)19:00-21:00 場所:AITルーム(代官山)
子どもが尊厳を育み、豊かに育つ社会を作るためには、大人も子どもも「孤立」しないような、共助や互助が可能になる仕組みを構築しなくてはなりません。そのためには、ひとりの力やひとつの組織だけでは実現できず、市民や企業、行政、専門機関の分断を無くし、協働していく仕組みが必要です。児童精神科医として困難を抱える子どもや若者に向き合った経験からNPO法人PIECESを立ち上げ、子どもや大人が協働しながらプログラミングや料理、スポーツ等を通して人に出会い、自己肯定やつながりを感じるための多くの取り組みを紹介します。子どもが育つ環境を考える活動について聞きながら、アートの表現や思考がそれにどのように交差できるのか、私たち一人ひとりにできることを考えます。
講師
小澤いぶき(NPO法人PIECES代表理事/児童精神科医)
アーティストと考える、子どもの遊び場づくり
日時:7月12日(木)19:00-21:00 場所:AITルーム(代官山)
土谷享、車田智志乃のユニットとして2001年に活動を開始したKosuge1-16。国内外のコミュニティの歴史やエピソードにまつわる遊具のような作品や、子どもや大人が一緒に体験できる作品を制作しています。アーティストが子どもと協働する時に生まれる創造性とはどのようなものでしょうか。このレクチャーでは、2018年1月に「dear Me」の企画としてKosuge1-16が東京都内の児童福祉施設で行った「どんどこ!巨大紙相撲」のワークショップや、アーティストのこれまでの実践を振り返りながら、子どもとの協働作業から生まれる気づきや、参加者を巻き込んで「場」そのものを一緒に作り出すエネルギーについて考えていきます。
講師
土谷享(美術家ユニット KOSUGE1-16)
Photo by Yozo Takada
べてるの実践から見るコミュニティと表現の可能性 - ケアの共同体と、弱さの情報公開 -
日時:7月21日 (土)13:00-15:00 場所:AITルーム(代官山)
北海道浦河町にある、精神障害などを抱えた当事者と町民有志によって設立された地域活動拠点「ベてるの家」。そこでは、精神障害やうつ病を抱えた当事者が自らの経験専門家として研究し、生きる苦労とうまく付き合う方法を仲間と一緒に考え、みんなが共に支え合う活動「当事者研究」を推進しています。国内外の先進的な活動を進める専門家とのシンポジウムや、統合失調症などを持つ当事者が主体的に表現をする幻覚&妄想大会など、弱さや経験をひらくことで繋がりをつくってきたべてるの実践は、親の精神疾患と子育てなど、社会に潜む様々な課題とこれからの「社会的養護」にも密接に関係しています。そんなべてるの家の設立にかかわった向谷地生良氏から当事者研究を取り入れた経緯と、実践していく上での苦労や支援の在り方について伺い、共に考えます。
講師
向谷地生良(浦河べてるの家ソーシャルワーカー/北海道医療大学教授)
ボクたちとキミたちの希望の物語(仮)
日時:7月26日(木)19:00-21:00 場所:AITルーム(代官山)
「弱さ」とはどのようなことでしょうか。本当は私たち誰もが弱さを持っているはずなのに、ある社会においては、私たちはそのことを忘れたふりをしたり、見せないほうが良いと考えていることもあります。でも、もしかしたら「弱さ」や「遅い」とされているものの中にこそ、新たな創造性を生む力がたくさんあるかもしれません。 このレクチャーでは、小説家で、近年はホスピスやダウン症の子どもたちのアトリエを訪ね、ルポルタージュを書いている高橋氏を招き、彼が考える「弱さ」について一緒に考えます。そのことにより、「福祉」や「児童養護」という言葉に集約されない、まだ見ぬ場所や物語に想像を寄せてみましょう。
講師
高橋源一郎(小説家)
実践① – 森の中の柔らかな協働:精神科医療施設とアートの関わり –
日時:8月25日(土)13:00-15:00 場所:AITルーム(代官山)
8回のレクチャーで学んだ知識やつながりのヒントを元に、実際に子どもたちに向けたワークショップ(9/1開催予定)に参画し、ファシリテーターとしての視点を体験します。ワークショップは、海外で福祉とアートを結ぶ先駆的な活動をするフィフス・シーズン(Fifth Season)より、ディレクターのエスター・フォセン氏とウィルコ・タウネブライヤー氏を招き行います。フィフス・シーズンは、アムステルダム郊外の広大な森の中にある精神科医療施設の敷地内でアーティスト・イン・レジデンスを実施し、アーティストと患者の人々の対話やリサーチから作品制作や学びに結びつく活動や医療に関心を持つ学生と学びのプログラムを実施しています。当日は、両氏のレクチャーを通して精神科医療施設でアートの活動を行う意味や具体的な取り組みについてお聞きし、後半は、9月1日のワークショップに向けての意見交換や、受講生の具体的な役割分担などについて話し合います。レクチャーは英語で行いますが、AITスタッフも通訳のサポートを行います。
講師
エスター・フォセン(フィフス・シーズン ディレクター/ビューティフル・ディストレス・アート・マニフェステーション キュレーター)
http://www.vijfde-seizoen.nl/
ウィルコ・タウネブライヤー(ビューティフル・ディストレス設立者&理事長/精神科医)
実践② – 子どもとアーティストのワークショップ・ファシリテーション –
日時:9月1日(土)13:00-16:00(準備11:00〜 / 片付け〜17:00) 場所:ヒルサイドテラスE棟(東京都渋谷区猿楽町29-8)
アーティストと子どもをつなぐワークショップの企画に取り組み、受講生自らワークショップのファシリテーターにチャレンジします。当日は、精神科医療施設との協働で活動を実施するフィフス・シーズンのエスター・フォセン氏とウィルコ・タウネブライヤー氏のアイディアを基に、オランダの「民話」やおとぎばなし、日本の「昔話」を取り上げながら主人公や登場人物のさまざまな人格や心の動きを想像します。「もし、主人公がとっても落ち込んでいたら?」「いつも笑っているあの登場人物にも悩みがある?」など、違う物語の展開を話し合いながら、立体やドローイングなどで自由に表現し、それぞれが見ている世界の差異や共通点を発見します。ワークショップには、家族をめぐる物語や、日本古来の童話など、一見、誰もが知るものの中にある不安定さや不確かさを映像や立体で表現するアーティストの和田昌宏氏を招き、フィフス・シーズン、AIT、本コース受講生の皆さんが伴走者になり、実施します。 *参加する子どもたちの対象年齢は、小学生以上を予定しています。ワークショップの詳細は事前に受講生の皆さんに共有します。
講師
エスター・フォセン(フィフス・シーズン ディレクター/ビューティフル・ディストレス・アート・マニフェステーション キュレーター)
http://www.vijfde-seizoen.nl/