ディスコースのラボ


日時:4月-12月19:00-21:00

場所:AITルーム(代官山)

定員:15名

レクチャー:指定10回+選択2回

講師:アンドリュー・マークル(フリーランスライター/編集者)ほか

コース受講料:¥71,000(税別)SOLD OUT!  



小冊子制作、食事会(1回)費用込み

コース受講生は、指定のレクチャーに加え、他コースの任意のレクチャーを2回選択できます。(アート・パートナーズ、Visit&Seeを除く)


「ディスコースのラボ」は、ディスカッションを交わしながら「考える」という評論の基礎的な能力を身につけ、研くためのゼミ形式のコースです。一般的に「海外から輸入された」近・現代美術は、専門知識の領域として近寄りがたいと思われがちです。しかし、現代アートはひとつだけの解釈が正解ではありません。その意義はむしろ、作品を通して作家やその歴史的・社会的な文脈と対話してから初めて生まれるものです。また、その対話が周りの人と広がり、そこで起こる意見や観点の衝突によって、さらに意義を帯びるようになります。このコースでは「リーディング」「ライティング」「ディスカッション」の3つの軸を辿りながら、それぞれの問題意識を交換し、対話・ディスコース(言説)を作り上げることに挑戦します。 ・リーディング:美術史や批評などの資料を読み、感想を共有することで、歴史と現在のずれや関係性を考えます。 ・ライティング:展覧会の感想を自分なりの評論として形にし、他の人に読んでもらうことで、アートを見る目や言語化する力が鍛えられます。 ・ディスカッション:自分の意見を口にし、他人の意見を受けてまた新たな視点に導かれることで、批評的な対話の楽しさを体感します。 ・冊子制作:最後に、成果物として受講生によるテキストを収めた冊子を制作し、自分の意見をだれか未知の人や未知の時代へ届けます。 <特徴> ・評論に必要な基礎的能力を身につける。 ・対話を重視することで、問題意識を言語化し共有する力をつける ・課題とフィードバックを通して、自分なりの「言葉」を習得する ・冊子という実践的な成果ができる ・批評的なアートの見方を身につける

講師

アンドリュー・マークル(フリーランスライター/編集者)ほか

1981年生まれ。元Art Asia Pacific誌副編集長。現在はART iTインターナショナル版副編集長を務めるほか、海外のアートマガジン『Artforum』や『frieze』にも寄稿。現代美術史に関する研究を行いな がら、日本を中心とした現代美術イベント関連の記事を主に書いている。

過去からの「未来派宣言」を今、読むこと  

日時:4月3日(火)19:00-21:00  場所:AITルーム(代官山)

イントロダクションでは、スケジュールやゼミの内容を確認するとともに、国内外の美術史に大きな影響を与えた前衛アートの宣言「未来派宣言」(FT・マリネッティ作、森鴎外訳、1909年)や「マヴォの宣言」(1923年)を朗読します。それをもとにディスカッションを行い、受講生同士のコミュニケーションを深めます。アートを通して過去・現在・未来はどう繋がっているかを再検証します。

ショートセッション1:ビジュアル・シンキングを試みる  

日時:4月24日(火)19:00-20:30  場所:AITルーム(代官山)

ニューヨーク近代美術館(MoMA)で始まった教育法のひとつであるVisual Thinking Strategies(VTS)を実践で学びます。「見る」「考える」「言葉にする」という行為を、自分と異なる視点を持つ人と一緒に行うことで、自分の視点の認識や自分なりの「言葉」の習得へと繋げます。終了後は近所の飲食店で気軽な飲み会を開きます(希望者のみ、参加費は実費)。

ゲスト講師

ロジャー・マクドナルド(MADプログラム・ディレクター/AIT 副ディレクター)

東京生まれ。イギリスで教育を受ける。学士では、国際政治学。修士では、神秘宗教学(禅やサイケデリック文化研究)。博士号では、『アウトサイダー・アート』(1972年)の執筆者ロジャー・カーディナルに師事し美術史を学ぶ。1998年より、インディペンデント・キュレーターとして活動。「横浜トリエンナーレ2001」アシスタント・キュレーター、第一回「シンガポール・ビエンナーレ 2006」キュレーターを務める。2003年より国内外の美術大学にて非常勤講師として教鞭をとる。長野県佐久市に移住後、2013年に実験的なハウスミュージアム「フェンバーガーハウス」をオープン、館長を務める。また、国内初の英国式「チャトニー」(チャツネ)を生産・販売している。興味は美術史、絵画、変性意識状態、オーディオ鑑賞、踊り、山。AIT設立メンバーの一人。https://www.fenbergerhouse.com

ライティング1:展覧会評を書く その1  

日時:5月22日(火)19:00-21:00  場所:AITルーム(代官山)

各自、講師が指定する展覧会を観に行き、感想テキストを自分なりの批評として書き、事前に共有します。ゼミ当日は、そのテキストをもとに、展覧会についてグループ・ディスカッションを行います。テキストの文字量はA4用紙1ページ程度を目安とします。 *展覧会およびテキストの提出日は追ってお知らせします。

リーディング1:現代アートの考古学 -『アンフォルメル以後』と『日本・未来・美術』  

日時:6月19日(火)19:00-21:00  場所:AITルーム(代官山)

「現代アート」とはそもそも何でしょうか。「今ある」アートという概念は長い歴史を持っています。宮川淳の『アンフォルメル以後』(『美術手帖』220号、1963年5月)と椹木野衣『日本・未来・美術』(『美術手帖』780号、1999年12月)、それぞれ違う時代に書かれた評論を比較することで現代アートの考古学を行います。

ライティング2:展覧会評を書く その2  

日時:7月24日(火)19:00-21:00  場所:AITルーム(代官山)

受講生が各自選んだ展覧会を観に行き、感想テキストを自分なりの批評として書き、事前に共有します。ゼミ当日は、そのテキストをもとに、展覧会についてグループ・ディスカッションを行います。テキストの文字量はA4用紙1ページ程度を目安とします。 *展覧会およびテキストの提出日は追ってお知らせします。

リーディング3:地域アート考察-「前衛のゾンビたち」と「敵対と関係性の美学」-  

日時:9月19日(水19:00-21:00  場所:AITルーム(代官山)

今ある問題を取り扱う評論を読みます。日本各地で盛り上がっている地域アートの由来は果たしてどこから来て、どこへ向かおうとしているのか。SF・文芸評論家の藤田直哉氏が2014年『すばる』(集英社)に寄稿した「前衛のゾンビたち」で述べている、アートは社会制度とどういう関係しているかという問いに対して自分なりに答えを模索します。また、藤田氏および数多くのアーティストや研究者が参照しているクレア・ビショップの評論「敵対と関係性の美学」(2004年)をあわせて読み、日本のローカルな動きが世界のアートとどう繋がっているかを考えます。

ショートセッション2:オープン・クエスチョンの会  

日時:10月12日(金)19:00-20:30  場所:AITルーム(代官山)

講師とMADプログラムディレクターのロジャー・マクドナルドを交えて、メンバー同士で、コースで学んできたことを振り返りながら、ライティング、冊子制作、美術一般について聞きたいことを、自由に質問し合うセッション。終了後は近所の飲食店でカジュアルな懇親会を開きます(希望者のみ、参加費は実費)。

ゲスト講師

ロジャー・マクドナルド(MADプログラム・ディレクター/AIT 副ディレクター)

東京生まれ。イギリスで教育を受ける。学士では、国際政治学。修士では、神秘宗教学(禅やサイケデリック文化研究)。博士号では、『アウトサイダー・アート』(1972年)の執筆者ロジャー・カーディナルに師事し美術史を学ぶ。1998年より、インディペンデント・キュレーターとして活動。「横浜トリエンナーレ2001」アシスタント・キュレーター、第一回「シンガポール・ビエンナーレ 2006」キュレーターを務める。2003年より国内外の美術大学にて非常勤講師として教鞭をとる。長野県佐久市に移住後、2013年に実験的なハウスミュージアム「フェンバーガーハウス」をオープン、館長を務める。また、国内初の英国式「チャトニー」(チャツネ)を生産・販売している。興味は美術史、絵画、変性意識状態、オーディオ鑑賞、踊り、山。AIT設立メンバーの一人。https://www.fenbergerhouse.com

ライティング3:アートの社会性  

日時:10月24 日(水)19:00-21:00  場所:AITルーム(代官山)

アートは現代の社会においてどのような役割や可能性を持っているかを考え、言葉にします。これは言い換えると、これからアートとどのように関わっていきたいかを語ると言えるかもしれません。テキストは他の受講生と事前に共有してからグループ・ディスカッションを行います。テキストの文字量はA4用紙1ページ程度を目安とします。 *テキストの提出日は追ってお知らせします。

アウトプット:冊子制作ミーティング  

日時:11月21日(水)19:00-21:00  場所:AITルーム(代官山)

受講生がこれまで書いた3つのテキストからひとつを選び、冊子に掲載するため、ゼミ当日までにさらに練り直していきます。その上で、「目次をどう並べるか」「タイトルは何にするか」「製本はどうすればいいか」など、冊子の内容や形式について相談する制作ミーティングを行います。

冊子のお披露目会  

日時:12月5日(水)19:00-21:00  場所:AITルーム(代官山)

受講生全員で制作した冊子のお披露目会を行います。完成した冊子を見ながら、本コースで学んだことを振り返ります。ディスコースのラボの実践を通して、アートの見方や作品との向き合い方が自分の中でどのように変化したでしょうか。

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Art & Culture TRIPS

 4月20日(土) 14:00-18:00(予定)

ナビゲーター:AITスタッフ
ゲスト:和佐野有紀(PROJECT501ディレクター / 耳鼻咽喉科医)
訪問先:PROJECT501、アクセンチュア株式会社、アーティスト・スタジオ
定員:12名 *最小催行人数:7名
料金:¥7,500(税別)*コース生 ¥2,000引

本ツアーでは、普段はなかなかアクセスできない企業に展示されている作品やアーティストの作品が生まれるスタジオなどを巡り、じっくり時間をかけて様々な角度からアート作品を鑑賞します。

Art & Culture TRIPS

 10月12日(土) 9:00-19:00(予定)

ナビゲーター:ロジャー・マクドナルド(AIT)ほか
ゲスト:堤隆(浅間縄文ミュージアム館長兼主任学芸員)
訪問先:フェンバーガーハウス、浅間縄文ミュージアム
定員:15名 *最小催行人数:13名
料金:¥16,000(税別)*コース生 ¥2,000引

ロジャー・マクドナルドのガイドのもと、縄文のアニミズムとアートとのつながり、絶滅を考えるユニークな1日ツアーです。長野県にある「浅間縄文ミュージアム」と「フェンバーガーハウス」を巡ります。

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 10月26日(土) 8:30-19:00(予定)

ナビゲーター:AITスタッフ
ゲスト:山根一晃、佐塚真啓、永畑智大
訪問先:Super Open Studio 2019(S.O.S 2019)、国立奥多摩美術館
定員:25名 *最小催行人数:15名
料金:¥16,000(税別)*コース生 ¥2,000引

20軒を超えるスタジオと、その所属アーティスト約120名からなる「Super Open Studio 2019」や、制作スタジオを美術館に見立てプロジェクト活動を行っている「国立奥多摩美術館」を巡ります。

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