コース:アート・パートナーズ
講師:南條史生(森美術館館長)
日時:11月25日(月)19:00-21:00
場所:森美術館
日本のアートシーンを多方面から牽引する方々から話を聞き、受講生とともに会話を楽しむサロン形式の講座、アート・パートナーズ。今回は「未来と芸術展」がスタートしたばかりの森美術館へ。森美術館館長であり、本展の企画者のひとりでもある南條史生さんの解説でこの展覧会を巡りました。2020年から森美術館の館長が交代することが発表され、本展は南條さんが館長として手がける最後の展覧会です。
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/future_art/index.html
「医学と芸術展」(2009-2010)「宇宙と芸術展」(2016-2017)に続く、”科学とアート” をテーマにした展覧会の第三弾。「これはアートなのか?」といった問いかけもあったという本展に対して、南條さんは「アートは誰かが定義をしても次々とその枠を外れるものがつくられていく。定義などできないのではないか」そして「アートも科学もどちらも世界の提案だ」とおっしゃいます。
会場内では、1作品ずつ丁寧にほぼ全ての作品を解説してくださいました。見て楽しむだけではなく、背景や技術を知って、頭で考えながら見る作品が多い今回の展示。アーティストのバックグラウンドや技術的背景などを解説していただくことで、理解が深まり、「展覧会をキュレーターと一緒に巡るとこんなに面白いのか!」と実感できます。
今回の展覧会は「メタボリズムの未来都市展」(森美術館・2011)が発想の発端となったそうです。メタボリズムが提唱された1960年代当時には技術的に不可能であったことが実現できる見通しが立ったり、当時は現代ほど目を向けられていなかった環境問題にも対峙した新しいメタボリズム;「ネオメタボリズム」の紹介は特に力が入ります。
なぜこのアーティストやこの作品を選んだのか?といった理由や、当初はこんな展示方法も考えていた、というような、展示を見ているだけではわからない話が聞けるのもキュレーターの解説で巡るツアーならでは。
たっぷりと展示を楽しんだあとは、森美術館と同じフロアにあるレストランで懇親会が開催されました。今回の展覧会の企画を担当されていた森美術館キュレーター・近藤健一さんにもご参加いただき、こちらでも、今回の展覧会の話やこれからの展覧会の話など、ゆったりとアート談義を楽しむことができました。
高砂理恵