2018年05月11日
コース:「生きる」を考えるアートの有用性
講師:ロジャー・マクドナルド(MADプログラム・ディレクター/AIT 副ディレクタ―)
日時:4月26日(木)19:00-21:00 場所:AITルーム(代官山)
キュレーター、マッシミリアーノ・ジオーニ(b.1973〜)によって、2013年の第55回ヴェネツィア・ビエンナーレでも取り上げられ、近年ではアートフェアなどを通じて流通されるようになった「アウトサイダー・アート」。
アール・ブリュット(Art Brut)やアウトサイダー・アート(Outsider Art)は、いわゆる「アート」とはどのように違うのでしょうか。いつ頃からそう呼ばれるようになったのか、またその元となった考え方はどのようなものなのか。
精神病や心理学から拡張してきた歴史をたどりながら、「アール・ブリュット(Art Brut)」という言葉を生んだフランスの画家、ジャン・デュビュッフェ(b.1901〜1985)やそれを初めて英訳し、著書『Outsider Art』(1972、Littlehampton Book Services Ltd)によって考えを広めたロジャー・カーディナル(b.1940〜)、また多くのアーティストを排出したオーストリアにある精神科の施設「Maria Gugging Psychiatric Clinic」などについて学びました。
「Art Brut」とは文化というものに料理されないアート、最もピュアな芸術表現ではないか、とジャン・デュビュッフェは言います。そこには、いわゆるアート界や美術館への批判も込められています。
夢、生命力、無意識、不思議なもの、強い衝動や生き方が込められた作品は、社会的な問題を考察したアートとはまた別の魅力があります。
私たちはそのような作品から、人間はどのように生きるべきなのか?という問いかけを投げかけられているのかもしれません。
塚田佳奈