「アートは人間の生き方や精神をもっと豊かにする道だ」というアプローチは、すでに100年以上前から存在した考え方です。こうした実験的モデルを実践に移した、非常にユニークな場所がヨーロッパの中心にあります。それが「モンテ・ヴェリタ」という、もうひとつの生き方(オルタナティヴ・ライフスタイル)の村です。20世紀初頭、ここに多くの思想家やアーティスト、音楽家、ダンサーが集まり、当時の社会と違う生き方を模索しました。コミューンの中で行われたアートやダンスの実験的な試みを見ながら、近代性に対する疑問とそこから生まれたもうひとつの生き方、生きることとアートの関係性を考えます。

講師

杉田敦(美術批評 / art & river bankディレクター / 女子美術大学教授)

1957年生まれ。名古屋大学理学部物理学科卒業。現代美術と哲学、科学、メディアを横断的に論じている。主な著書に『ナノ・ソート-現代美学・・・あるいは現代美術で考察するということ』(2008年)、『静穏の書: 白い街、リスボンへ』(2015年)など。実践として「批評家の海岸」プロジェクト(越後妻有アートトリエンナーレ、2009)、ポルトガルの現代美術展キュレーション「極小航海時代」(女子美アートミュージアム、2010年)、個展「サンクチュアリ、あるいはアジールのあとにくるもの」(空蓮房、2015年)などがある。ほかにも、アーティストの増本泰斗とのプロジェクト「Picnic」やオルタナティヴ・スクール 「nano school」(blanClass)、クリティカル・ジャーナル『+jouranal』の編集・発行などを継続して行っている。2017年にはリスボン大学芸術学部大学院博士過程で教鞭をとりながらドクメンタなどの国際展を巡り、その様子をARTiTにて連載。2019年、同連載を単行本として刊行予定。アートの実験的シンクタンク《基礎芸術》メンバー。

ファシリテーター

ロジャー・マクドナルド(MADプログラム・ディレクター / AIT副ディレクター)

東京都生まれ。イギリスで教育を受ける。学士では、国際政治学。修士では、神秘宗教学(禅やサイケデリック文化研究)。博士号では、『アウトサイダー・アート』(1972年)の執筆者ロジャー・カーディナルに師事し美術史を学ぶ。1998年より、インディペンデント・キュレーターとして活動。「横浜トリエンナーレ2001」アシスタント・キュレーター、第一回「シンガポール・ビエンナーレ 2006」キュレーターを務める。2003年より国内外の美術大学にて非常勤講師として教鞭をとる。長野県佐久市に移住後、2013年に実験的なハウスミュージアム「フェンバーガーハウス」をオープン、館長を務める。また、国内初の英国式「チャトニー」(チャツネ)を生産・販売している。興味は美術史、絵画、変性意識状態、オーディオ鑑賞、踊り、山。AIT設立メンバーの一人。https://www.fenbergerhouse.com
TICKETS

タイトル:もう一つの美術史


日時:4月11日(木)19:00-21:00 

場所:代官山AITルーム

定員:25 名

講師:杉田敦(美術批評 / art & river bankディレクター / 女子美術大学教授)

受講料:¥3,900(税別)finished!

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講師:ロジャー・マクドナルド(MADプログラム・ディレクター / AIT副ディレクター) 他

場所:代官山AITルーム

定員:25 名

受講料:¥3,900(税別)

アートの歴史の中では、どのように「自己」が捉えられてきたのでしょうか。アートと「変性意識」や「スピリチュアル」などの関係性を紐解きながら、思考の変容や新たなアートの体験を促します。...

Art & Culture TRIPS

 10月12日(土) 9:00-19:00(予定)

ナビゲーター:ロジャー・マクドナルド(AIT)ほか
ゲスト:堤隆(浅間縄文ミュージアム館長兼主任学芸員)
訪問先:フェンバーガーハウス、浅間縄文ミュージアム
定員:15名 *最小催行人数:13名
料金:¥16,000(税別)*コース生 ¥2,000引

ロジャー・マクドナルドのガイドのもと、縄文のアニミズムとアートとのつながり、絶滅を考えるユニークな1日ツアーです。長野県にある「浅間縄文ミュージアム」と「フェンバーガーハウス」を巡ります。

What Can Art DO?

 5月30日(木) 19:00-21:00

講師:向谷地宣明(MCMedian代表取締役 / NPO法人BASE代表理事)

場所:代官山AITルーム

定員:25 名

受講料:¥3,900(税別)

北海道浦河町にある、精神障害などを抱えた当事者と町民有志によって設立された地域活動拠点「ベてるの家」では、当事者が自らの経験を「専門家」として研究し、生きる苦労とうまく付き合う方法...

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