19世紀後半から20世紀前半にかけて、身の周りに広がる世界をひたむきに観察し、その経験をカンヴァスに落としこんだ二人の画家を見ていきます。近代絵画の「父」の一人であるセザンヌは、見るプロセスをひたすら「分析」することでその表現を深化していきました。奴隷として生まれ、独学で絵画を学んだトレイラーは、田舎や都市生活の素朴な風景を描きました。この全く違うコンテクストで絵を描いていた二人を並べることで、平面で表現することの可能性や影響力を眺めていきます。

・ポール・セザンヌ(1839−1906、フランス)
銀行経営者の息子として生まれ、法学部に通うが中退。絵画の道に進む。クロード・モネやオーギュスト・ルノワールらと親交を深め、印象派グループの一員として活動。近代絵画の「父」と呼ばれ、キュビズムなど20世紀美術に大きな影響を与えた。

・ビル・トレイラー(1854−1949、アメリカ)
アラバマの農場で奴隷の子として生まれる。奴隷解放宣言が発布された後、自由の身となるが、その後も同じ農場で(小作人として)働く。その後、路上生活を送りながら、85歳から独学で田舎や都市生活の素朴な風景を描きはじめる。NYのアメリカン・フォークアート・ミュージアムでの展示を行うなど、アウトサイダー・アートの代表的な作家として評価されている。

講師

ロジャー・マクドナルド(MADプログラム・ディレクター/AIT 副ディレクター)

東京生まれ。イギリスで教育を受ける。学士では、国際政治学。修士では、神秘宗教学(禅やサイケデリック文化研究)。博士号では、『アウトサイダー・アート』(1972年)の執筆者ロジャー・カーディナルに師事し美術史を学ぶ。1998年より、インディペンデント・キュレーターとして活動。「横浜トリエンナーレ2001」アシスタント・キュレーター、第一回「シンガポール・ビエンナーレ 2006」キュレーターを務める。2003年より国内外の美術大学にて非常勤講師として教鞭をとる。長野県佐久市に移住後、2013年に実験的なハウスミュージアム「フェンバーガーハウス」をオープン、館長を務める。また、国内初の英国式「チャトニー」(チャツネ)を生産・販売している。興味は美術史、絵画、変性意識状態、オーディオ鑑賞、踊り、山。AIT設立メンバーの一人。
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レクチャータイトル:ポール・セザンヌとビル・トレイラー


日時:4月26日(水)19:00-21:00

場所:AITルーム(代官山)

定員:30 名

講師:ロジャー・マクドナルド(MADプログラム・ディレクター/AIT 副ディレクター)

受講料:¥3,900(税別)

備考:レクチャー終了後、ミニ・バーをオープン(21:00-21:30/有料)

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