親が感じる社会的なプレッシャーやそこから生じる子どもの虐待などの社会的課題を考えるとき、それはジェンダーの問題とも深く関係していると考えられます。女性と戦争、ナショナリズムをテーマに扱うアーティストの嶋田美子氏を招き、日本におけるアートとジェンダーの関係性や歴史を辿ります。嶋田氏は、映像やパフォーマンスを通して戦争の記憶や暴力について検証し、近年は、家庭やコミュニティ内においての存在の虚実を、フィリピン、韓国、インドネシア、タイといったアジア圏で採取するフィールドワークを行ってきました。作品の背景を読み解きながら、社会の最小単位としての「家族」の政治性や、近代家族制度による性役割分業が助長してきた「生きにくさ」について考えます。

講師

嶋田美子 (美術家)

1959年東京都生まれ。2015年、英国キングストン大学より美術史博士号取得。戦争と女性をテーマに写真、インスタレーションを中心とした作品を発表している。近年は、戦争期の女性に限らず家庭やコミュニティ内においての存在の虚実を、アジア各国で採取するフィールドワークを行っている。これまでの展覧会に個展「Bones in Tansu-Family Secrets」(イギリス、カナダ、デンマーク、タイ、インドネシア、フィリピン、2006-2009年)、「Yoshiko Shimada」(韓国、カナダ、アメリカ、フィリピン、中国、ドイツ、1995-2001年)、「嶋田美子」(都内各地、京都、1995-2002年)、グループ展に「There-Gwangju Biennnale Project2」(韓国、2002年)、「Art, Performance and Activism in Contemporary Japan」(Pump House、イギリス、2012年)などがある。

ファシリテーター

堀内奈穂子(AITキュレーター / dear Meディレクター)

エジンバラ・カレッジ・オブ・アート現代美術論修士課程修了。2008年より、AITにてレジデンス・プログラムや展覧会、シンポジウム、企業プログラムの企画に携わる。ドクメンタ12マガジンズ・プロジェクト「メトロノーム11号 _ 何をなすべきか? 東京」(2007年)アシスタント・キュレーター、「Home Again」(原美術館、2012年)アソシエイト・キュレーターを務める。国際交流基金主催による「Shuffling Space」展(タイ、2015年) キュレーター、「Invisible Energy」(ST PAUL St Gallery、ニュージーランド、2015年)共同キュレーター。アーカスプロジェクト (2013) 、パラダイスエア (2015 、 2016)、京都府アーティスト・イン・レジデンス事業「大京都in舞鶴」(2017)のゲストキュレーターを務める。 2016年より、AITの新たなプロジェクトとして、複雑な環境下にある子どもたちとアーティストをつなぐ「dear Me」プロジェクトを開始。アートや福祉の考えを通した講座やワークショップ、シンポジウムを企画する。

藤井理花(AITプロジェクト・マネジャー / dear Me企画・コーディネーター)

千葉県生まれ。出版IT企業などを経て2011年より現職。AITでは主に展覧会やイベント、ワークショップのコーディネートや企画を担当。AITが2014年に企画協力した「ゴー・ビトゥイーンズ展-こどもを通してみる世界:子どもキャプションプロジェクト」(主催:森美術館)では、学校プログラムや一般の子ども向けワークショップの運営に関わる。ジーナ・ブエンフェルド企画「回る世界の静止点で」(2014年)、「The BAR vol.8 Today of Yesterday 過去に在る、いま」展(2015年、山本現代)などを担当。2016年に開始した、dear Meプロジェクトのメンバー。個性豊かな子どもや若者が主体的に関わるプログラムを策定中。興味は自然、温泉、映画、養蜂。個人の活動に福祉施設の児童と様々な文化活動や学びのサポートを行うボランティアグループに参加している。MAD2010キュラトリアル・スタディーズ修了生。

清水美帆(美術家 / dear Meスタッフ)

東京都生まれ。ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ卒業後、オスロ国立芸術大学で修士号(ファインアート)を取得。1998年に誕生したアーティスト・コレクティヴ、Danger Museumのメンバーとして活動し、「何でも美術館になり得る」という考えの下、移動美術館を運営。現在もオィヴン・レンバーグとのコラボレーションの場として継続している(www.dangermuseum.com/ja/)。近年のソロ活動としては布を主な素材とした表現活動が多く、ライブイベントや映像作品のセット、俳優やダンサーのための衣装や小道具を制作している。2018年にはダニエル・コック(ダンサー/振付家)と恊働でパフォーマンス作品「xhe」を発表。2019年、Museum of Contemporary Art Tuscon(米国アリゾナ州)のグループ展へ参加。
さまざまな分野の人が知識や経験を共有する場づくりに関心があり、2017年よりフクシとアートの関係性を模索するdear Meにスタッフとして関わる。

青木彬(キュレーター / dear Meスタッフ)

1989年東京都生まれ。首都大学東京インダストリアルアートコース卒業。現在はインディペンデント・キュレーターとして活動。2018年からはAITのdear Meの運営にも携わる。アートプロジェクトやオルタナティヴ・スペースをつくる実践を通し、日常生活でアートの思考や作品がいかに創造的な場を生み出せるかを模索している。「黄金町バザール2017」アシスタント・キュレーター。「ファンタジア!ファンタジア!―生き方がかたちになったまち―」ディレクター。
TICKETS

タイトル:中心と周縁


日時:5月11日(土)13:00-15:00

場所:代官山AITルーム

定員:25 名

講師:嶋田美子 (美術家)

受講料:¥3,900(税別)finished!

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訪問先:フェンバーガーハウス、浅間縄文ミュージアム
定員:15名 *最小催行人数:13名
料金:¥16,000(税別)*コース生 ¥2,000引

ロジャー・マクドナルドのガイドのもと、縄文のアニミズムとアートとのつながり、絶滅を考えるユニークな1日ツアーです。長野県にある「浅間縄文ミュージアム」と「フェンバーガーハウス」を巡ります。

What Can Art DO?

もう一つの美術史

モンテ・ヴェリタの実験コミューン

 4月11日(木) 19:00-21:00 

講師:杉田敦(美術批評 / art & river bankディレクター / 女子美術大学教授)

場所:代官山AITルーム

定員:25 名

受講料:¥3,900(税別)

「アートは人間の生き方や精神をもっと豊かにする道だ」というアプローチは、すでに100年以上前から存在した考え方です。こうした実験的モデルを実践に移した、非常にユニークな場所がヨーロ...

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 10月26日(土) 8:30-19:00(予定)

ナビゲーター:AITスタッフ
ゲスト:山根一晃、佐塚真啓、永畑智大
訪問先:Super Open Studio 2019(S.O.S 2019)、国立奥多摩美術館
定員:25名 *最小催行人数:15名
料金:¥16,000(税別)*コース生 ¥2,000引

20軒を超えるスタジオと、その所属アーティスト約120名からなる「Super Open Studio 2019」や、制作スタジオを美術館に見立てプロジェクト活動を行っている「国立奥多摩美術館」を巡ります。

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