※本コースに含まれる以下のレクチャーは、個別に購入することができます。
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もう一つの美術史 モンテ・ヴェリタの実験コミューン
日時:4月11日(木)19:00-21:00 場所:代官山AITルーム
「アートは人間の生き方や精神をもっと豊かにする道だ」というアプローチは、すでに100年以上前から存在した考え方です。こうした実験的モデルを実践に移した、非常にユニークな場所がヨーロッパの中心にあります。それが「モンテ・ヴェリタ」という、もうひとつの生き方(オルタナティヴ・ライフスタイル)の村です。20世紀初頭、ここに多くの思想家やアーティスト、音楽家、ダンサーが集まり、当時の社会と違う生き方を模索しました。コミューンの中で行われたアートやダンスの実験的な試みを見ながら、近代性に対する疑問とそこから生まれたもうひとつの生き方、生きることとアートの関係性を考えます。
講師
杉田敦(美術批評 / art & river bankディレクター / 女子美術大学教授)
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アートの「外」とは? 「アウトサイド」から読み解く、アール・ブリュットとアウトサイダー・アート入門
日時:4月25日(木)19:00-21:00 場所:代官山AITルーム
最近よく耳にする「アール・ブリュット」や「アウトサイダー・アート」。いわゆる「アート」とどのように違うのでしょうか。本レクチャーでは歴史を紐解きながら、アール・ブリュットやアウトサイダー・アートがどのように発展してきたかを見ていきます。1972年に著書『アウトサイダー・アート』で、ジャン・デュビュッフェの「アール・ブリュット」を紹介しつつ、その解釈を拡張したロジャー・カーディナルは、ロジャー・マクドナルドの恩師でもあります。その親密な関係性から生まれた深い考察を元に、アートの「外(アウトサイド)」について考えます。
レポートはこちら>>(Update on 5/19)
講師
ロジャー・マクドナルド(MADプログラム・ディレクター / AIT副ディレクター)
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https://www.fenbergerhouse.com
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日本での「アール・ブリュット」受容とその展開
日時:5月9日(木)19:00-21:00 場所:代官山AITルーム
前回(4/25)のアール・ブリュットとアウトサイダー・アート入門に続く、日本における「アール・ブリュット」受容について学ぶレクチャーです。ヨーロッパの「アール・ブリュット」や「アウトサイダー・アート」という概念がどのような形で日本に紹介され、発展してきたのかを学びます。時代によって「アール・ブリュット」や「アウトサイダー・アート」という言葉の使われ方が変化してきましたが、それを辿ることによって日本独自の歴史が浮かび上がります。先駆的な日本の「アール・ブリュット」展、障害者アートと福祉の現場など、過去から遡り現在の傾向までを見ていきます。
レポートはこちら>>(Update on 5/19)
講師
保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員)
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アートと宇宙意識
日時:5月23日(木)19:00-21:00 場所:代官山AITルーム
1901年、アメリカの心理学者であるリチャード・モーリス・バックは、『宇宙意識』(尾本憲昭訳、ナチュラルスピリット)という本を出版しました。これは、あらゆる文化や時代を横断し、変性意識状態(覚醒時の意識と異なる意識状態:睡眠・催眠・トランス等)をまとめた初めての試みであり、この中には、宗教者や神秘主義者だけでなく、アーティストや一般の人々の体験談も記されていました。バックは、こうした人々の体験を“宇宙意識”と呼び、その体験が個人の狭い視野を押し広げ、個の存在がより広く複雑な宇宙の領域と繋がっていることを示唆しました。本レクチャーでは、普段美術史には登場しないアートを実験的につなげていき、もうひとつのアートの歴史について考えます。
古典宗教芸術の役割、アートが道具として機能する祈りや修行の世界、インドや密教におけるアートの力、人の生活を精神的に豊かにするためのアートの実験、民藝、カウンターカルチャーやヒッピーが考えたアートの機能に迫ります。
講師
ロジャー・マクドナルド(MADプログラム・ディレクター / AIT副ディレクター)
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アルテ・ウティル アートの有用性とその可能性、工芸、生き方とコミュニティ
日時:6月6日(木)19:00-21:00 場所:代官山AITルーム
モダンアートの歴史は、分断の歴史でもあります。特に、アートを生活や生きることから切り離すことが、19世紀の終わり頃から起きてきたともいえるでしょう。もともと生活と近い関係にあったはずのアートが特殊な領域になり、前衛美術といわれ、そこからまた独特な歴史を辿ってきたと考えられます。本レクチャーでは、この分断された歴史を考え直し、「もうひとつのモダン」の可能性を探っていきます。イギリスの美術評論家ジョン・ラスキンや、日本の民藝運動の柳宗悦を参照しながら、アートが求めたもう一つの総合芸術や生き方を探ります。そしてこの数年新しい概念として議論されているアルテ・ウティル(有用芸術 / Useful Art)について一緒に考えます。
講師
ロジャー・マクドナルド(MADプログラム・ディレクター / AIT副ディレクター)
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アート・観察・クリエイティビティ
日時:6月20日(木)19:00-21:00 場所:代官山AITルーム
アートを長い時間観察することには、どのような効果や経験がもたらされるのでしょうか?注目・注意(もしくは集中)して観察することを、英語では「Attention」と訳しますが、その裏にはもう一度人間らしさを取り戻すという意味が潜んでいるかもしれません。また多くのアーティストは、この「Attention」を駆使し、意識をクリエイティヴな状態に運び作品制作を行っています。本レクチャーでは、「Attention」をテーマに開催された2018年のサンパウロ・ビエンナーレや最新の神経科学、最近注目されている「フロー状態(集中力が高い脳の状態)」など分野を横断して、深い観察や注視することについて考えます。
講師
ロジャー・マクドナルド(MADプログラム・ディレクター / AIT副ディレクター)
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