2018年09月11日

レポート:アーティストとの仕事 – 岡山芸術交流の事例から –

コース:アート・パートナーズ
講師:那須太郎(TARO NASU代表/岡山芸術交流2019総合ディレクター)
日時:7月10日(火)19:00-21:00 場所:AITルーム(代官山)

 
 
文化資源をアップデートする時代へ〜岡山芸術交流の場合〜
今年も多数の芸術祭が開催されますが、今回は、2019年に開催される「岡山芸術交流」の総合ディレクターであり、TARO NASUの代表でもある那須太郎さんを迎え、自治体主導とは異なる、新しい「国際展」の取り組みについてのお話を伺いました。

 
 
■ 既存の「芸術祭」とは違ったアプローチ
岡山芸術交流 OKAYAMA ART SUMMIT」は、岡山県で2016年に第1回が開催され、23万人の来場者を記録した現代アート(コンセプチュアル・アート)の国際展です(次回は2019年9月27日から11月24日まで開催予定)。岡山県出身の那須太郎さんが総合ディレクターを務めたほか、同じく岡山県出身で株式会社ストライプインターナショナル代表取締役社長であり石川文化振興財団理事長の石川康晴さんが総合プロデューサー、アーティストのリアム・ギリックさんがアーティスティックディレクター務めました。
アーティストが展覧会の構成を行うことで、キュレーターとは違った目線でアーティストの選定が行われ、アーティストたちがともに展覧会を創り上げるような取り組みとなったそうです。

 

■ 国際展を継続可能にする取り組み
従来の自治体主導とは異なる国際展を継続可能な取り組みとするために、岡山芸術交流では、既存の文化資本を活用するさまざまな取り組みが行われました。

まず、ハード面では、前川國男や岡田新一といった建築家による近代名建築が会場として利用され、1日で回れる会場構成がなされました。那須さんも、これだけの文化資産が地元にあったことに、この国際展を通じて改めて気が付いたといいます。
一方、ソフト面では、石川文化振興財団のコレクションを活用し、国内では滅多に見られない、スターアーティストといわれる作家のクオリティの高い作品が展示されました。もちろん既存のコレクションだけではなく、岡山芸術交流のための新作も制作・展示されました。
国際展という大型イベントを継続していくため、行政と協力しながらも、資金や運営において新しいスキームを探索しながら準備を進めているのが印象的でした。

このほかにもイベントを一過性のものにしないための工夫の数々や、次回、2019年の開催に向けての現在の動きや今後仕掛けていきたい新たなアプローチなどのお話も伺うことができました。

 

■ コンセプチュアル・アートを中心とした展示の意義
既存の「芸術祭」とは異なるアプローチが試みられた「岡山芸術交流」ですが、那須さんは「アートの大衆化、エンターテイメント化に対する危惧」や「日本ではコンセプチュアル・アートの作家が正当に紹介されていないのではないかという懸念」を抱いていたと言います。
「分かりづらい」と敬遠されることもあるコンセプチュアル・アートですが、一方で、岡山芸術交流のなかで、こどもや若い人たちがそれらの作品を楽しみながら見ていたのが印象的だったそうです。「分からないから見ない」のではなく、「分からなくても楽しい」という楽しみ方も示してくれるようでした。

 
次回の岡山芸術交流は、2019年9月27日から開催されます。
http://www.okayamaartsummit.jp/blog/2018/04/16/747/

 
高砂理恵

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