2018年07月6日

レポート:アーティストを支援する新たなモデル ②

コース:アートを支える制度と仕事
講師:塩見有子(AITデイレクター/AIT理事長)
日時:6月5日(火)19:00-21:00 場所:AITルーム(代官山)

 
「アートを支える制度と仕事」の第3回。最終回となる今回のテーマは、第2回に引き続き「アーティストを支援する新たなモデル」。
今回は、企業を中心としたアート・プロジェクトやアワードなどの取り組みやオルタナティヴ・スペースなど、公共の美術館とは違った視点でのアートの取り組みについてのレクチャーでした。

 

まずは、企業名を冠したアートスペース・音楽ホールの誕生(1980年代頃〜)や、企業が社会貢献の一環として行う芸術文化支援「企業メセナ」の導入(1990年代頃〜)など、日本で企業とアートの関係性が強まりはじめた例をみていきました。
企業のスペースは、公共の美術館ではできないような、時代性のある展覧会をインディペンデント・キュレーターたちが活発に展開できるといった特徴もあるそうです。

 
続いて、近年の企業によるアート・プロジェクトの例が紹介されました。
本社の社屋内でアートと建築を融合させる株式会社大林組の「本社アート・プロジェクト」や、新進気鋭のアーティストの作品を社内のプレスルームに展示する マネックス証券株式会社主催のアートプログラム「ART IN THE OFFICE」、日本人アーティストが海外アートシーンでのプレゼンスを高めることを後押しする日産自動車株式会社主催の「日産アートアワード」など。

 

これらは塩見さん自身が関わられていたプロジェクトということもあり、受講生からは、
「アーティストと企業の意向が合わなかった時はどうなるの?」
「企業の中にアートを導入して、社員の人たちはどう思っているの?」
「企業活動のひとつとしてアートプログラムを行う場合、どんなものが達成目標になるの?」
といった質問が挙がっていました。

 
また、アーティストを直接支援するだけでなく、アートをファッションに取り入れたものや、美術教育を支援する企業活動について、企業支援とは異なるオルタナティヴスペースやメディア、教育機関の果たしてきた役割についても話は広がりました。

 
アーティストではない私たちはどのようにアートと関わっていけるのか?また、アート界に今まだ足りていないものはなんだろうか?といったことも考えさせられるレクチャーでした。

 
高砂理恵

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