占部史人氏の繊細で考古学的な作品の裏には、彼の宗教に対する深い関心や先史時代への好奇心があります。このレクチャーでは、占部氏がこうした要素をどのように考え、作品にしていくのかを探ります。「私はこれまで仏教哲学の根本にある<空>の思想を彫刻においてどのように表現できるかというテーマを中心に探求してきました。現在ではアジアやオセアニアの島々に残る神話を題材にその底流に流れる死生観、仏教の思想が生まれる土壌となった世界観を追い求めています。」と自身が語るように、作品には工芸的な要素やインスタレーションが取り入れられていながらも、一見、特に宗教的ではないのも興味深い要素です。こうした極めて現代的なアプローチについても考えていきます。

講師

占部史人(美術家)

1984年愛知県生まれ。愛知県立芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。仏教寺の子息として生まれ、僧侶としての教育を受けながら、現代美術の分野で作品を発表。近年の主な展覧会に「蜜の流れる大地」(GALLERY SIDE2、東京、2016年)、「空いろの島」(あいちトリエンナーレ2013プレイベント、佐久島、2012年)、「占部史人ワークショップ作品展」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、2012年)、グループ展に「赤い米の来た道」(James Cohan Gallery、上海、2014年)、「シャルジャ・ビエンナーレ11」(アラブ首長国連邦、2013年)などがある。シャルジャ・ビエンナーレ11 優秀作品賞受賞。

ファシリテーター

ロジャー・マクドナルド(MADプログラム・ディレクター/AIT 副ディレクター)

東京生まれ。イギリスで教育を受ける。学士では、国際政治学。修士では、神秘宗教学(禅やサイケデリック文化研究)。博士号では、『アウトサイダー・アート』(1972年)の執筆者ロジャー・カーディナルに師事し美術史を学ぶ。1998年より、インディペンデント・キュレーターとして活動。「横浜トリエンナーレ2001」アシスタント・キュレーター、第一回「シンガポール・ビエンナーレ 2006」キュレーターを務める。2003年より国内外の美術大学にて非常勤講師として教鞭をとる。長野県佐久市に移住後、2013年に実験的なハウスミュージアム「フェンバーガーハウス」をオープン、館長を務める。また、国内初の英国式「チャトニー」(チャツネ)を生産・販売している。興味は美術史、絵画、変性意識状態、オーディオ鑑賞、踊り、山。AIT設立メンバーの一人。
TICKETS

レクチャータイトル:何処でもない/あらゆる場所


日時:4月25日(火)19:00-21:00

場所:AITルーム(代官山)

定員:30 名

講師:占部史人(美術家)

受講料:¥3,900(税別)

備考:レクチャー終了後、ミニ・バーをオープン(21:00-21:30/有料)

RECOMMEND

Art & Culture TRIPS

 7月19日(金)-21日(日) 

ナビゲーター:AITスタッフ
ゲスト:向谷地宣明(MCMedian代表取締役 / NPO法人BASE代表理事)、浦河べてるの家関係者ほか
訪問先:「第27回べてるまつり in 浦河」(浦河町総合文化会館)ほか
定員:20名 *最小催行人数:14名
※ 早期「お問合せ」割引 / MAD生割引あり

北海道浦河町にある、統合失調症やうつなどの精神疾患を経験した当事者を中心とするコミュニティ「浦河べてるの家」が1年に一度開催するユニークなお祭り「べてるまつり」を訪問します。

Art & Culture TRIPS

 11月30日(土) 9:00-19:00(予定)

ナビゲーター:AITスタッフ
ゲスト:竹久侑(水戸芸術館現代美術センター主任学芸員)、佐藤麻衣子(水戸芸術館現代美術センター教育プログラムコーディネーター)ほか
訪問先:水戸芸術館現代美術センター、茨城朝鮮初中高級学校ほか
定員:25名 *最小催行人数:15名
料金:¥16,000(税別)*コース生 ¥2,000引

水戸芸術館現代美術センターの「アートセンターをひらく 第Ⅱ期」と茨城朝鮮初中高級学校「オープン・スクール」ほかに訪問予定です。

Art & Culture TRIPS

 10月12日(土) 9:00-19:00(予定)

ナビゲーター:ロジャー・マクドナルド(AIT)ほか
ゲスト:堤隆(浅間縄文ミュージアム館長兼主任学芸員)
訪問先:フェンバーガーハウス、浅間縄文ミュージアム
定員:15名 *最小催行人数:13名
料金:¥16,000(税別)*コース生 ¥2,000引

ロジャー・マクドナルドのガイドのもと、縄文のアニミズムとアートとのつながり、絶滅を考えるユニークな1日ツアーです。長野県にある「浅間縄文ミュージアム」と「フェンバーガーハウス」を巡ります。

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