2006年9月19日、軍事クーデター。2008年8月、民主市民連合による空港占拠。2010年5月、反独裁民主戦線デモ隊の強制排除。2014年1月、バンコク・シャットダウン。2014年5月22日、軍事クーデター。2016年10月13日、国王ラーマ9世崩御。現代世界における文化と政治、アートと政治の考えたときに、現代タイの状況は、わたしたちに多くの示唆を与えてくれます。
こう書くと、文化とアートが導く社会的ムーヴメントといったものを想起しがちですが、タイにおける(広義の)アーティストたちの活動は、同時多発的な個々の活動が生み出す「うねり」のようなものといったほうが正確かもしれません。
本講座では、混迷を極める現代タイの政治状況と文化事象の関わりについて、各分野のアーティストの具体的な作品や活動を紹介しながら考えていきます。二日間 全四回の講座を、以下のような内容で進める予定です。

◆7月14日(金)19:00-20:30
1)現代タイの政治的文脈
主に21世紀の政治動乱について解説しつつ、その背景や、人々の表現・思想に与える問題について説明します。

◆7月15日(土)11:00-16:45
2)現代タイのアート・映画
3)現代タイの文学・演劇
4)現代タイにおける「場所」(アートスペース、独立系書店)

前日に解説した政治的文脈を反映し、活動するアーティストたちの作品を具体的に取り上げながら見ていきます。今後変更する可能性もありますが、以下にいくつか例を挙げます。
アートではピシタクン・クアンタレーンの一連の作品。映画ではアピチャッポン・ウィーラセタクンの作品を、映画論ではなく、いま一度きちんと政治的文脈のもとで見直します。文学ではウティット・ヘーマムーンの作品を、演劇・パフォーマンスアートではDemocrazy Theatre Studioなどいくつかの現代カンパニーと、2014年に王室不敬罪に問われた作品『狼の花嫁』を紹介する予定です。
単に作品を紹介するだけではなく、歴史的・思想的な文脈も踏まえて解説をしていきます。その上で、それらの作品を発表し、アーティストが活動するための場となっているさまざまな空間、アートスペースや独立系書店について紹介することで、タイ現代文化のいくつかの側面を、できるだけ多様な形で示します。

ここでは便宜的に、各回の内容を分野ごとに分類しています。ただ、その活動はきわめて領域・ジャンル・分野・業界横断的なものが多く、単純に一括りにできるものではないことが多いです。それをジャンル的な未熟や未発達と見るか、ある種の有機的で流動的な活動ととらえるか、意見が分かれるところかと思います。いずれにせよ、これらタイのアーティストたちの活動を知ることが、日本に、現代世界に生きるわたしたちを取り巻く状況の中でどのような意味をもつのか、講座を通じてみなさんと一緒に考えていければ幸いです。

講師

福冨渉(タイ文学研究者)

1986年生まれ。タイ文学研究者、タイ語翻訳・通訳者。東京外国語大学大学院博士後期課程在籍中。共著書に『タイを知るための72章』(明石書店、2014年)、『いま、世界で読まれている105冊 2013』(テン・ブックス)など。雑誌『ゲンロン』にてコラム「タイ現代文学ノート」を連載中。翻訳に『新しい目の旅立ち』(プラープダー・ユン著、『ゲンロン』にて連載)、「2527年のひどく幸せなもう一日」(ウィワット・ルートウィワットウォンサー著、『東南アジア文学』14号、2016年)、アピチャッポン・ウィーラセタクン「光りの墓」(2016年)など。
TICKETS

レクチャータイトル:MAD WORLD vol.2


日時:7月14日(金)19:00-20:30

7月15日(土)11:00-16:45

場所:AITルーム(代官山)

定員:20 名

講師:福冨渉(タイ文学研究者)

受講料:¥19,000(税別)

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